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「はぁ。どんだけだよ。こんなやつの担任かよ。
おまえ、もう俺のペットな。お手したんだから。よそ様に餌もらうんじゃないぞ」
「へ?!先生!頭おかしくなったんですか!その冗談、笑えませんよ!」
「ほら、もうここ閉めるから、弁当持って立て」
言う通りに手提げ袋を持って立ち上がると、先生に手を引かれて、廊下に出された。
先生に握られた自分の手が汗ばんで来て恥ずかしく、思わず振り払ってしまい、申し訳なくてご機嫌を伺うように先生を見上げた。
私を見下ろす先生。
「へぇ。そんな事していいの。俺をネタに変態小説書いてた癖に。」
「変態って、よくある恋愛物ですよ、先生と生徒の…」と言ってしまってから口を手で塞ぐ。
「はぁ、次から次へと余罪が出て来る、まったく。
後でたっぷり取り調べしてやるからな。それと、俺のストーカーしてないで自分のストーカー対策しろよな。」
先生は廊下に私を残して準備室に戻り,棚からあの段ボール箱を降ろして来ると、私にボンと押し付けた。
「これ教室まで運んで、皆に配って置いて。」
先生、うまいこと言うなぁとか、自分のストーカー対策って何のこと?とか考えていた私はいきなり渡された段ボール箱の重さにちょっとよろけた。
そう言えば、5時間目は生物。
「おい、転ぶなよ。
おまえ、しばらく生物の教科係な、雑用係とも言うが。」
取り調べの前に新たなペナルティを課された私、ペットで、下僕?
でも昨日みたいな冷たい眼で見られる事を思ったら、呆れられてても、雑用係でも、今みたいに笑いかけてもらえるのが、嘘みたいだ。
窓の外はしとしとと四月の雨が降り続いている。冷たい雨から優しい雨に変わったような気がした。
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