何かが起こっている

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   先生に見つめられ、手を引かれてリビングのソファまで連れて来られて、先生が腰を下ろすのと一緒に隣に座る。     怒ってる?…私が…悪い…子…だから…。    先生に取られた右手が先生の頬に当てられる。  その滑らかな感触に意識の殆んどを持って行かれながら、先生の気持ちが分からなくて、冷たい態度の理由を考える。    私を見つめる先生もどこか不安そうに感じるのは、自分が不安だから?      「柚衣…お前、男を誘うなんて百年早いかんな…。」      ため息とともにそう呟く先生の言葉に、一挙に体温が上昇する。      「え?そんな、誘うって、男って、先生だから…」     「校長にも釘刺されたし、ちゃんと真っ直ぐ家まで送り届けるつもりだったの、俺は。  それを…遅くなってもいいとか……ダメ?とか。     そんなに襲って欲しいわけ?」    「あ、えっと…そうだよね、私みたいなの、そ、そんな気起きないよね、ごごめんなさい…」    先生に取られていた手を引っこ抜き、そわそわと立ち上がりながら、先生に頭を下げて玄関へと一歩踏み出した…  「ちょっと待って、なんでそういう結論に行くのか分かんないんだけど。」  先生にまた捕まえられてソファに逆戻りしてしまった。  「だ、だって先生、男を誘うような女、嫌いなのに、子供の私がそんな真似したって怒って…」    ソファに身を竦(すく)ませて腰かける私の前に、ラグに直接座った先生が私の両手を取り、私の顔を下から覗き込むように見つめる。    その眼鏡の奥の目が、私の言葉を聞いて見開いて固まった。  そして首を振りながら俯いて      「かなり、行き違いがあるみたいだね…」と呟く。    行き違いって?と問い掛ける様に先生を見る。      「あのさー、確かに、そういう女嫌いだし、前に君にも怒った覚えあるけど、    今日のは意味違うから…」    先生が目線を合わせて来る、その瞳がやけに切なく私を映す。      「違う意味って…」      考えれば分るようなことなのに、信じられなくてその先を催促してしまう。     「誘われたらその気になっちゃうから、困るって…あー俺なんでこんな説明してんのかなー」  
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