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「…その気…に、なる…?」
「極力悟られないようにして来たって言うのに…勘違いしていじけるって、どういう思考回路してるんだか…」
先生の言ってる意味がだんだん頭に浸透してきて、動悸が激しくなってくる。
先生にとって私はそういう対象だったの?
どんどん顔が熱くなって来る。
好きとは言ってもらえたけど、キスもして貰えたけど、それでもどこかで思ってた、私はまだ、ひよこ?先生は私が巣立つのを待ってるの?って。
違うの?
「ねえ、」と先生が私の視線を捉える。
「そんなに俺のこと好き?」
そんなの…ギュッと心臓が掴まれたみたいに苦しくなって、言えっこ無いのに、先生の目が子犬のように縋ってくるから、コクン…と頷いた。
先生の両手が私の膝の上で私の両手を握りしめる。
ラグに座る先生の立てた膝は私の両足を挟んで、ぐいと顔を近づけて来る。
私はまた、泣きそうになってしまう。
「俺に何されてもいいくらい?」
子犬から一変、悪魔に変貌して微笑む先生、その黒い瞳に囚われてゾクッとする。
もう一度コクンと頷きかけ…で、でも…
「先生、キスから先はしないって、さやか先輩に…」
先生の視線を避けて下を向く。
「あー言ったねー…でもそれ聞いてがっかりしたんでしょ?」
「がっかりって!…意味が違う…」
じゃあ、どんな意味?と先生に問い掛けるように覗き込まれ、堪え切れなくなった涙がポロリと零れ落ちた。
「せ、先生は…きっとそのうち、私…から離れて行く…つもりなんだって…だから、私はキ、キスだけで、有…頂天に、なっちゃうけど、先生は、どこか…引いてる…し、冷めて…るんだ…って。」
「泣かないで、よく聞いて。俺から離れて行ったりしない。遺伝的にもほら執念深いでしょ?
それにキスで暴走しないように理性は働かせてる。」
「暴走…し…そうになる?」
「なるよ…って、そんなの言わせないで。
あー、なに笑ってんだよ。お前にも言わせてやる。ホントはその先期待してるって正直に言ってごらん。」
伝えたら望みは叶う?
「私…期待してる。先生が…私に夢中になって…くれないかな?って。
先生の気持ちが…欲しいって。」
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