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「 もう、囚われちゃってるのに、これ以上欲しい?欲張りだね。
じゃあ、あの続きしようか、坂口が俺に挑んで来ても毅然として戦えるように、姫君から騎士にキスのプレゼント、して。」
先生が眼鏡を外し、握っていた私の両手を引っ張り、自分の首に回させる。
引っ張られてソファから先生の胸の中に先生の足の間に正座する。
先生の両手が私の背中で組まれて緩く輪を作る。
心臓がうるさい位に激しく脈打っている。
密着度が、信じられない。
息も絶え絶えの状態なのに、先生は「まだ?」って無邪気を装って聞く。
なんで、こうなってるんだろう?
先生の気持が欲しいと言った筈なのに、何故か、また私の気持ちを差し出す羽目になってるじゃないか。
「ほら、自信失くして戦い放棄しちゃうよ?」
あー、もうそうやって脅す。ほんとに性質(タチ)が悪い。
「先生、騎士なの?私、姫君ってキャラじゃないよ。」
憮然として引き伸ばし工作に入る。
どちらかと言えば騎士に忠誠を誓わされる従者じゃないだろうか?
「ご褒美は姫君からの尊敬とキスだけで、苦難に立ち向かうんだよ、騎士でしょ?」
「それって、どこのRPG ?」
「もう、ごちゃごちゃいいから、ほら」
「うー。
目……瞑っててね…」
私の気持ちを欲しがる先生にキュンとして、そっと先生の唇に唇で触れる、その感触にまた、ドキッとする。
離れると、薄目を開けた先生が「もっと」と言う。
艶めかしいその顔が、私が欲しかった先生?
先生の真似をして、小鳥のキスをいくつか落とすと「足りない…」と呟いて先生がキスを返して来る。
背中にゾクッと何かが走る。
いつのまにか頭と腰を支えられ、先生の唇が私の口を塞ぐ。
何度も繰り返される口づけに、食べられてしまいそうなキスに陶然となる。
先生の気持ち貰えた…
そう感じたはずだけど、後は何も分らなくなった。
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