姫君の受難と暗躍する騎士

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   「そう、金曜日の体育祭が終われば、俺たち実行委員もお役御免だ、無事に終わって欲しいよ。」   「その言い方、かなりおじさん臭いよ。」  ゆーかちゃんの声に後ろを振り向くと丁度今登校して来たところらしい      「あ、ゆーかちゃんおはよ。」  はい、みんな席についてー、という声とともに先生が姿を見せる。     「あ、やば、先生来ちゃった、ゆいちゃん後でね!」    朝の教室のざわめきが、教室のあちこちに散らばっていた生徒たちが自分の席に着き収まって行く。    「起立――礼――着席」  「おはよう、今週はいよいよ体育祭だね、準備に練習にみんな頑張っていると思うけど、くれぐれも本番前にけがとかしないように気をつけてください。 じゃあ出席とります。―安部ー」  教壇の横に立ち、片肘ついて寄り掛かり気味に出席簿を付ける先生。      先生、相変わらずゆるい…。    つい、その姿に魅入ってしまう私。    土日はやっぱり色々忙しい先生とは会えなくて、先週もあの無理に先生のマンションに連れて行ってもらった以外、二人で会えたのは生物の実験準備のお手伝いをした時位だ。    放課後も、先生は三者面談だし、私達は体育祭の応援パフォーマンスの練習や衣装の準備、団体競技の練習と、やる事は山ほどあったから。     だからたとえSHRでも、先生に会えるのは嬉しい。  ただあまり先生を見てると後でメールが来る。    <さっきの顔、テレビなら放送事故レベル。>    って酷すぎると思うんだけど。      「…ばな…たちばな…おい橘!」    「は、はい!」  「目、開いて寝てるって器用すぎるぞ。」  「は、はい~すみません~」      教室中がどっと沸く。    あ~、どんなメールが来るか、怖いです。    あ、山田君憐みの目で見ないで!  真理ちゃんもわざわざ後ろ振り向いて心配してくれなくていいから!    ホント、残念なやつだ、橘。
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