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笑って軽口を叩いて、先生も笑って何か言い返すかと思ったら、私の顔を凝視して固まっている。
二人とも前のめりに話していたせいでお互いの間は30㎝も離れていない。
先生の前髪の隙間のメガネの奥の見開いた眼が覗けてしまう。
呼吸がうまくできない、息を止めていたのかも。
先に動いたのは先生だった。俯いて背もたれに体を預け深く息を吐き出した。
「あー、干渉しすぎだった。はは、俺は、マニアか?」
先生の視線から解放されて、私も息をつく。
力無く笑う先生に応えて私も笑ってみる。
「はは、先生マニアだったりして、そうじゃなかったら変態ロリコンか、それも違うっていうなら、シスコンの兄貴とか?」
「――それにしとくか、シスコン兄貴、マニアもロリコンも捕まっちゃうから―」
「せんせー!その冗談きついよー」
普段、全くものに動じるって事がなくて、ポーカーフェイスで飄々とこなして行く先生が、なんかちょっと動揺してる。信じられない。それも私の為に?
他の子よりちょっと近づけたのかな?
でも先生大丈夫だよ、私、勘違いしないから、先生が、特別私を気にしてくれる理由、多分知ってるんだ。
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