先生のパーカー

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  「誰に入れ知恵されたの?らしく無いでしょ、そんな言い方。」 先生に、掴まれた肩をクルリと回され両肩を掴まれる。 恥ずかしくて、苦しくて、哀しくて、ずっと下を向いてる。   先生の声は静かで、何の感情も含んで無いように聞こえるけれど、それが尚更、胸をグサリと抉(えぐ)ってくる。 嗚咽を漏らしそうになるのを必死で堪(こら)えていると、はぁ―と先生の溜息を吐く声が聞こえ、私の肩の手が離され、パサッと何か掛けられた。 「こんなスーパーの売り場で女子高生泣かせてたら通報されちゃうよ。」 先生に肩を強く抱かれたまま、足早に何処かへ連れて行かれる。 驚いて涙が引っ込んでしまったみたいだ。 先生の顔を至近距離から見上げる。 悪いおじさん……と不謹慎にも浮かんだのを、慌てて取り消した。 「迷惑かけちゃってすみません。でも、ほっといて貰えれば……一人でも帰れるし…」 「どうせ、俺は、悪いおじさんで、マニアックな変態ロリコンの上にシスコン兄貴擬きだから。」 と、訳の分からない事を、前方を向いたままぶつぶつ言っている。 いや、私、今、絶対声にだしてませんよ。 先生エスパー?今冗談を言ってもいい状況なの? 私、乗っかるべきでしょうか? いや、やっぱり、そういう空気じゃ無いですよね。
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