先生のパーカー

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 駅ビルの脇の道から、路地を通って着いたのは、先生が昨日言ってたマンション。  わっ…つ、連れ込まれちゃうんですよね?  悪い…おじさん……に?  いやいや……ただ、近くで人目を避けるのに都合がいいだけだから……  で、でも。  先生の部屋……  マンションのガラスのドアを開け、すぐ左側の警備員さんに挨拶をし、どんどん先へ進む先生。もう一つガラスのドアの前で壁に着けられたパネルのボタンを操作してそこを通る。  その先のエレベーターの前に立って先生が屈んで私の顔を見た。  「何考えてるか、ダダ漏れなんだけど。」  うわっ!「いえ!何もほんとに、なにも期待なんてしませんから!」  急に先生に覗き込まれて、あたふたしてしまった私は、また失言。    「橘、だめだよ。……俺、癖になりそう……。」  って?意味わかんないですよ?それに……    先生……そんな堪えてないで、ちゃんと笑っていいですから。  
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