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この世界では力がすべてだ。
次に必要なのは敬意だろうか。
血みどろになりながら犬のように戦う敵と味方に対する…
この世界になぜ来たのか、いつ来たのか
おれの記憶は曖昧だ。
気づけば、砂漠のど真ん中で目覚め、陰気な鉛色の目をした真っ赤な騎士がおれを見下ろしていた。
やつはただ「来い。おれについて来い。他に道はない」
陰気な気の滅入る声だ。紅い甲冑が鈍く薄気味悪く輝いていた。
そいつがロックだった。
「名前がないと困るな。名は?覚えているか?」
おれはヨロヨロ立ち上がりながら、よく見たらいつから着てるのかよれよれのぼろ布をまとっていた。
足はボロボロの爪先しかないサンダル。
おれは下僕か?囚人か?
選択の余地などあると思うか?
「ファボーレ…」
そんな名前だったか?なぜ口に出たんだ
「そうかファボーレ。おまえとは仲良くできそうだ」
眉間にシワを寄せ、そんな陰気な声じゃチョンバレだぜ。
使い捨てのコマなんだろ?
それがやつとの出会いだった
蒸せるような砂ぼこりと血のように真っ赤な夕日とおれの地に堕ちた陰…
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