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「みぃちゃん、バイトは?」
夜勤明けで帰ってきたばかりの小夜が、冷蔵庫に頭を突っ込んだまま尋ねる。
「今日は休み。」
本のページを捲りながら、それに答えた。
もう既に市内の印刷会社へ就職が決まっていた私は、学生生活最後の夏休みを満喫すべく、祖父の家に長期滞在を決め込んでいた。
母の実家でもあるこの家は、小さな町の海の側に建っている。
大自然の中にあるこの町は、普段はお年寄りと子供しか見かけないような所だ。
それでも、目の前に広がる海が、サーフィンをする為に絶好のポイントであるという事。
車で20分程の所には、『日本最後の清流』と言われる有名な川があるという事。
この二箇所の観光スポットのおかげで、夏の間は町の人口を上回る程の観光客やサーファーたちが、ここに押し寄せて来る。
私はアウトドア派ではないけれど、この自然の中で過ごす夏休みが大好きだった。
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