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月明かりに照らされ青白く浮かび上がるキャンバスに、裸の足で一本の線を描く。
昼間の温度が冷めないままの砂浜は、その熱が冷たい海風と混ざり合い特有の空気を作り出している。
それらは、同じく熱を帯びたままの私の肌に心地良く纏わりつき、その表面を湿らせる。
薄明かりの中で唯一聞こえてくる波の音は、いつの間にか鼓膜の内側に溶け、赤い血と共に体中を流れていく。
黒く広がる海面にはユラユラと黄金色の梯子が揺れ、月の待つ夜空へと繋がっている。
それはまるで昇ってくれと言わんばかりに妖しく美しい光を放ち、波に紛れ近付いては遠ざかる。
見慣れた光景と潮の香り。
夜空を仰ぐと、静かに瞬く星たちの声が聞こえる。
そのまま、少し歩く。
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