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「あ、あった。」 私はお目当ての大きな流木の前で足を止めた。 砂の上にサンダルを置き流木に腰を下ろすと、もう一度空を見上げる。 月明かりがあるとはいえ、地上の灯りが少ないこの町では星が綺麗に見える。 「ふぅ…」 漏れた溜め息を夜空へ送ると、ジーンズのポケットから煙草を取り出した。体を風よけ代わりにして火をつけると、大きく息を吸い込みゆっくりと吐き出す。 白い煙は月を包むように立ち昇り、やがて風に掻き消されていった。 星に触れられそう。 散らばる星たちに向かって手を伸ばし宙を掴む。そして握った手をそっと引き寄せ静かに開いてみた。 もちろん星を掴めた事も触れられた事も一度もないが、この瞬間はなぜだかいつもワクワクする。 「こんばんは。」 突然、背後から低い声がした。       
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