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「・・・・・・っ!」 声にならない声を呑み込むより早く体は反射的に立ち上がり、後ろを振り返っていた。 いくらここが田舎町とは言え、真夜中の一人散歩が安全だとは言い切れない。 ・・・なんて今更ですけど。 振り返った私から少し離れた所に、二つの黒い人影が見える。 正確には一つの人影とサーフボードの影・・・か。 -自転車置き場まで全力で走ればなんとか逃げられるかな。その前にサンダル投げてみる? いや・・・やっぱり逃げよう!- 一瞬冷静になった私の頭が、思いがけないこの状況をなんとか切り抜けようとフル稼働する。 ・・・が、そんな私の脳内奮闘などお構い無しに黒い影は言った。 「おねーさん、火・・・」 「ひ?」 「うん。煙草の火が洋服に点きそうだよ。」 指差された方を見ると、シャツの横に付いているリボンがオレンジ色の火の側でひらひらと揺れている。 慌てて流木の上の携帯灰皿で火を消すと、もう一度ゆっくりと影に目をやった。     
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