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「ねぇ・・・」
長い長い一瞬にピリオドを打ったのは彼だった。
「夜って不思議だね。陽の光の中では見えないもの、沢山見えてくる。」
「?」
「そう思わない?」
彼の言わんとすることを理解できず首を傾げる私を見つめ、クスッと小さく笑うと、彼はゆっくりこちらへ近付いて来た。
先程の不思議な感覚のせいか、少しずつ警戒心が失われつつあった私の中で、突如大きなアラーム音が鳴り始める。
-マズイ・・・よね?
そう思った時にはもう遅く、彼は私の目の前に立っていた。
背の高さは180cmを超えているだろうか。決して小柄ではない私を見下ろすように覗き込む。
一層けたたましく鳴り響くアラーム音に、軽く目眩さえ覚えた。
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