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「僕、流星。おねーさんは?」
頭の中で大音量で鳴り続ける音に相反し、落ち着いた静かな声が降ってくる。
「へっ?」
私は間の抜けた声を発し、思わず俯きかけた顔を上げる。
そこには、自分の乏しい想像力と恥ずかしいくらい過剰な自意識を呪いたくなる程、優しく柔らかな彼の顔があった。
「名前だよ。僕は、りゅ・う・せ・い。おねーさんの名前は何て言うの?」
「‥‥‥。美月 」
恥ずかしさのあまり、まともに顔など見られる訳もなく、私は俯き加減で答えた。
「みづきかぁ。“美しい月”?」
「うん。」
「良い名前だね。僕たち“月と星”だ。」
そう言って、彼は嬉しそうに微笑んだ。
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