【わがまま大名・細川忠興】

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  「ごめんなさい。ちゃんと此処に居る。ちゃんと…氏郷さんを待ちます。だからもう、誰も叱らないで…!」 瀬田に倣うように、細川が頭を下げた。 「ごめんなさい。」 二度、 「ごめんなさい。」 三度。 静かな庭先で、小さな謝罪だけが響き続ける。 「細川。」 四度目を紡ごうとした声を遮るのもまた、利休だった。 「武士が簡単に、頭下げるもんじゃねぇ。」 「……だって」 「言い訳も駄目だ。」 「…ごめんなさい。」 「手前ぇは何しに此処に来た。」 「なにって…。」 「自分で選べねぇ道なら、何処に居たって同じだぞ。」 「……。」 「一日だけ待つ。安土に戻るか…此処に残るか、きっちり決めて俺に報告しろ。」 瀬田と細川の間を通り抜けて、利休は屋敷に入ろうと再び石畳を鳴らし始める。 「……先生。」 「早過ぎたんだ、元々。例え帰ると言ったとして…手前ぇを責めんのは筋違いだろうよ。」 「腹切るなよ。」 静かに移り行く空気は無常に進む時間(とき)の所為だろうか。 何かを紡ごうとした細川をも再度遮り、利休はゆるりと屋敷に身を埋めた。 「……。」  
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