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「聴きたくない。そんなの…聴きたくない!」
「お、落ち着いてや。何が起きてんのか教えてくれへん?」
芝山には其れが何なのか、全く理解出来ない。
「……叩いて。」
「わ、びっくりした。叩くて、牧村さん何言うて…」
「闇が…入り込んでる。」
「やみ?」
「良いから!早く細川くんの背中叩いて!!」
割り込んで来ておきながら
普段見ない牧村の剣幕に、芝山は為す術無く従った。
「こ、こうやろか?」
ぽんと背中を叩く。
「違う。もっと強くだ。」
「こんくらい?」
ぺしとまた軽い音。
「君、戦友居ないの?」
「言うてはる意味が分からへんのです。」
「気付けの要領で思い切り叩くんだ。」
「そない言うんやったら、牧」
「僕には、無理だよ。」
買い言葉にも似た問答の果ては、そうして芝山の手元に返って来た。
「嫌やわ…無茶苦茶言わはんな、此ん人。」
「怖い人や。」
隠す必要の無い本音は簡単に言葉になる。
「早くしないと、戻って来れなくなる。」
「何やよう分からへんけど、叩いたらええんやな。」
「始めからそう言ってる。」
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