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「そ、ソーラーカーみたいだったよ、さっきの恭一」
「…はぁ?
んっだよ…それ」
「知らない?俺理科の授業ん時に作ったんだけどさ、」
「じゃなくて…、なんで例えがソーラーカーなわけ……」
「だって、太陽の力で走るんだぜ?カックいいじゃんソーラーカー。
見た目はちょっとビミョーだけど」
「…………」
あぁ、我ながらなんてエネルギーの無い言葉だ。
「お前さぁ…」
「何ですか」
「次からはもうちょっとマシな慰め方しろよな」
「……」
(ここでダメ出しかよ!!)
少しでも励まそうとしたのを後悔して睨もうとしたら、そう言って俺を見上げる恭一は、笑っていた。
《1500メートル走に出場する人は、入場門に集合して下さい。》
ノイズ混じりの放送に、急に元の時間へ引き戻される気がする。
「俺行かなきゃ。
恭一、あとでちゃんと救急テント行っとけよな」
恭一のひざの怪我はまぁまぁ大きい。今さらだけど、かなり痛そうだった。1500走る時は俺も気をつけよう。
そうして涼しい玄関から出ようとすると、呼び止められた。
「たかし」
「?」
「がんばれよ」
「――…
おう!!」
(…ふっ
きもいな、俺)
…なんか笑えてくる。
俺は光を浴びると、勢いよく入場門へ走って行った。
-終-
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