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ソーラーカー
「次、お前の学年じゃねぇ?」
その声でハッと我に返る。
リレーのアップをしている俺にそう呼び掛けてきたのは、恭一だった。
「うるっせぇな!
分かってるよそんくらい!」
「そう怒るなよすぐにー」
後ろからのんびりと聞こえる声を無視して、俺はリレー走者の待機場所へ向かう。
そうだ。コイツが体育委員だってことすっかり忘れてた…。
それを思い出したら更に腹が立って、いったん振り替えると思いっ切り睨んでやった。
恭一は俺より一つ年上で、家が隣だから長年の付き合いになる。背が高くて、顔も格好良いから女子にもモテるし、勉強ができる上に足も速い。
まさに、天才って奴。
それで周りからチヤホヤされてるからって、調子ん乗っちゃってさ。母さんも洗脳されてるよ…。俺の今までの成績が何度アイツと比べられたことか!
今日の体育大会だって、絶対恭一と比較するに決まってる。
(あぁ、またムカついてきた)
ボスッ
「いッて!何すんだよ」
「悪い、当たっちゃった(笑)」
「わざとだろ~」
今度は前に座ってるクラスメートとじゃれる振りをして、イライラしてんのを誤魔化した。
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