ソーラーカー

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   パァン!!!  一気に大地を蹴った。  下の地面の砂も、上に広がる晴れた空も。全部の景色が自分を震わせる感覚……―――  気持ちいい。周りで見てる奴らなんてただの棒に見える。 《おぉ――4組 赤 速い、ダントツトップです!赤に続きますは白 3組!…》  自分の目でも放送でもその事実を確認すると、スパートをかける。   あと10メートル。  トラックの端にいる恭一に見せつけるかのように、手足の動きを大きくさせて走ってやった。 …………………… 《アンカー、ゴール!  2年クラス対抗リレーは一着3組!二着4組!  三着から…》 (…あーぁ。2位かー…) 「せっかく1位キープしてたのに……」  思わず声に出して言ってしまった。誰にも聞こえてないかと辺りを見回すと、一人近付いてきた。 「まぁさ、お前の最初のスピードがあってこその結果じゃん。尚がいなかったら3位以下だったと思うよ?」  うっ。このキザな台詞は…… 「黙れ!次 3年だろ、  早く行けよ恭一」 「はいはい」  暇な奴だなぁ。何かある度に絡んできやがって…友達いないのかよ。  俺も自分の応援席に戻って席に座った。リレーが始まっても、アイツは同じ場所で待機している。  恭一はアンカーだった。クラスで推薦されたに違いない。でも、恭一の健康そうな肌には、クラス色の黒いハチマキも、肩にかかるタスキも、とてもよく似合っていた。 (…ちくしょー…)  改めて恭一を格好良いと認めてしまった自分が嫌になって、俺は眉間にシワを寄せた。
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