0人が本棚に入れています
本棚に追加
パァン!!!
一気に大地を蹴った。
下の地面の砂も、上に広がる晴れた空も。全部の景色が自分を震わせる感覚……―――
気持ちいい。周りで見てる奴らなんてただの棒に見える。
《おぉ――4組 赤 速い、ダントツトップです!赤に続きますは白 3組!…》
自分の目でも放送でもその事実を確認すると、スパートをかける。
あと10メートル。
トラックの端にいる恭一に見せつけるかのように、手足の動きを大きくさせて走ってやった。
……………………
《アンカー、ゴール!
2年クラス対抗リレーは一着3組!二着4組!
三着から…》
(…あーぁ。2位かー…)
「せっかく1位キープしてたのに……」
思わず声に出して言ってしまった。誰にも聞こえてないかと辺りを見回すと、一人近付いてきた。
「まぁさ、お前の最初のスピードがあってこその結果じゃん。尚がいなかったら3位以下だったと思うよ?」
うっ。このキザな台詞は……
「黙れ!次 3年だろ、
早く行けよ恭一」
「はいはい」
暇な奴だなぁ。何かある度に絡んできやがって…友達いないのかよ。
俺も自分の応援席に戻って席に座った。リレーが始まっても、アイツは同じ場所で待機している。
恭一はアンカーだった。クラスで推薦されたに違いない。でも、恭一の健康そうな肌には、クラス色の黒いハチマキも、肩にかかるタスキも、とてもよく似合っていた。
(…ちくしょー…)
改めて恭一を格好良いと認めてしまった自分が嫌になって、俺は眉間にシワを寄せた。
最初のコメントを投稿しよう!