プロローグ

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   ――中央大海。  大きな二つの大陸に挟まれる形で、世界の中央に鎮座する母なる海だ。  本日、波は穏やか天気は快晴と、上々のコンディションである。  その海原に、白波を立てて激しく動き回る水上バイクが四つ。  それらを狙い、水中から巨大な魚型の魔物が姿を表した。  黒く輝く鱗は、見るからに固そうで、開いた口にはノコギリ状の歯がずらりと並んでいる。  その魔物が、水上バイクの一つを狙った。 「エイミーを狙うなんてヒドいです~! そんなお魚さんには、コレでお仕置きです!」  魚型魔物の噛みつきを回避した、ツインテールの少女が、水上バイクをドリフトさせ、その場で百八十度回転した。  と同時に、三本の銃身を持つ重機関銃を取り出し、魚型魔物に銃口を向ける。  そして、大きく叫びながら彼女はトリガーを引いた。 「いっきまああああす!」  ――ズガガガガガガガガガガ!!  刹那後、三本の銃口が同時に火を吹いた。  水しぶきが激しく上がり、魚型魔物の姿が見えなくなる。    ――間もなくして、獣の雄叫びの如き銃声が鳴り止み、海に静けさが戻った。 「あ~、弾が切れちゃいました~」  しょぼーんと言う雰囲気で呟くツインテールっ娘。  そして彼女はよいしょよいしょとリロードを始めた。
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