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「あなた達も私の気持ちを考えて行って欲しいわ」
少しイライラしたのでお喋り用時計人形、オカメちゃんをひっくり返す。案の定「おやめください」と言いながらくるくる回っている。
「もしかして、ミスティには好きな人がいるのとかじゃないよね?」
不安そうにジョンは訊いてくる。
「い、いないわよ」
この年でいないのもある意味はずかしい。
「なら、僕にもチャンスはある!」
(なんて前向きな)
不思議なことにジョンや時計人形達は私の気持ちを穏やかにさせてくれる。だからなのか、何回でも時計塔に足を運んでしまう。
朝早く、いつも通り時計塔に向かおうとすると、アリスおばさんが家の前にいた。
「どうかしましたか?」
「お嬢ちゃん、『呪われた時計塔』に何度も行っているのはばれてるんだよ! お嬢ちゃん、悪魔に魂を取られたりしてないかい?」
「そ、そんな危ない場所じゃないわ」
「でも、何回も行くなんて、悪魔に呪いをかけられているんじゃない?」
「いますぐ神父さまに見てもらいましょう」
アリスおばさんに言われるまま、教会へ連れて行かれる。
「おめでとう」
何やら人が多い、花が飛んできたので受け止めると。
「わー、おめでとう」
「?」
「くやしい」
神父さんが出て来たのでアリスおばさんはそっちに向かったが、ミスティは人に囲まれている。
「君、ラッキーだね、花嫁のブーケを取るなんて」
「はあ?」
「知らないの、花嫁さんが、今、ブーケトスしていたのよ」
(ブーケトス……興味ない)
人ごみをかき分け神父とアリスおばさんの元へ行った。
「『呪われた時計塔』に平気で行ってるなんておかしいと思いません? 神父さん?」
「あなたがミスティさん、除霊させてくれますか?」
「は、はい」
何もついてないといいな。
十字架を近づけ何やら唱えている神父さん、目を閉じているので顔は見えないが、神父さんも手ごたえがないのか、すぐにやめてしまった。
「何もついていませんよ」
「よかった」
「じゃあ、私が信じていたのは、迷信だったのね」
「そのようですね」
帰り道、花束を持って帰る。
「まあ、ミスティちゃん、あの時のブーケトスの花ね、おめでとう」
「は、はぁ」
私は、しばらく結婚の予定なんてないのに~。
「また、迷信ですよ」
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