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「ミスティちゃんだってかわいいんだから大丈夫よ」
アリスおばさんは、そのうち、お見合いでもさせたいようだ。
家で通信用時計人形でジョンと話す。
「私、あなた達のせいで、悪魔に呪われてるとか言われたのよ」
「それは……ごめん」
「あなたのせいじゃないけど、いや、あなたのせいかもしれないわ?」
「僕がね、人が嫌いで来る人来る人脅していたから、そう言う噂ができてしまったんだね」
「やっぱり、あなたのせいじゃない」
「教会に言ったのなら今日は結婚式があったんじゃない」
「なんで、そう言う事は知っているのよ」
「神父さんが教会に予定表を張っているんだ。教会にはたまに行くから」
「ふ~ん、私、ブーケトスの花束を取るなんて、なんて悪いことしたのかしら」
「ブーケトスの花、それじゃあ、僕たちの結婚が――」
ブツンと電源を切る。
また、そう言う事言う、私は嫌だって言ったのに。
今日は、珍しく寝坊せず、時計塔に向かうことにしてサンドイッチを作っている。
(お弁当位、たまには持って行ってもいいわよね……まあ、時計人形が作ってくれそうだけど……)
と言いつつ二人分作っている。
時計塔をエレベーターで上って行くと。
「ミスティ!」
嬉しそうに笑いジョンがこっちに向かってくる、私はまた時計塔に来ていた。
(コードが全部ゴムのクッションで巻かれている! 忙しいのに私が来るから直したのね)
なんか心がもやもやするような気がしてきた。
「どうしたの? ミスティ」
下から上目使いでジョンは訊いてくる。会った当時のように、髪をもじゃもじゃにではなく、美少年に見える今のジョンに、ドキッとした。
(ドキッ? びっくりしただけよね?)
「なんでもないわ、サンドイッチ、差し入れに持って来たの」
「わぁ、ミスティの手作りか、すごくうれしい、僕のために作ってくれたの?」
「……まあね」
とにかくうれしそうなジョンを見て否定するのもなんだったのでそう返事した。
(言われてみれば、無意識にジョンのために作っていたような……)
ドキドキと心が揺れる。
――何この気持ち? 病気?
ミスティは、どうしても認めたくないのか『恋』だとは思わないようだ。
「ミスティ……、ミスティ……?」
「何?」
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