恋に落ちるか?

5/8
前へ
/50ページ
次へ
「おいしいよ、ありがとう、でも、ミスティ、ぼーとして体調が悪いの?」 「そうみたい」 「時計人形に運んでもらって下の階の僕の部屋で寝ていたら?」 「……うん」  青年時計人形にお姫様抱っこで運ばれ、じーっと顔を見ても時計人形は何も思わないのだろう無表情だ。 (私ってこっちがタイプよね?)  ジョンの部屋は本だらけの部屋にベッドが置いてあるだけだが、しっかり本が片付いているあたり、きれい好きなんだろう。 (ここにいつもジョンが寝ているのね)  ベッドに横になり、ウトウトする。本格的に体調が悪いようだ。  ――本当に病気だったの?  カタカタと音がした。 「う~ん」  ミスティは急に聞こえた音に少し声を漏らした。 「ごめん! 起こした?」  ジョンが本を取りに来たのだろう。 「なんだ、ジョンか……」  しかし、彼の手には本ではなくハンカチを持っている。 「ご、ごめん、汗かいていたから少し吹いたんだ。熱があるみたいだったし、あと、薬とおかゆだよ」 「ありがとう」  ミスティは、少しおかゆを食べ、薬を飲み、頭の中はふらふら、また、眠りに着く。  しかし、ジョンは一向に私から離れる気はないらしい。 「こんなに無理をしていたなんて」  ジョン? よく見えないジョンの顔を見上げて。  ――私は無理していたのかしら? 慣れない一人暮らし、仕事、疲れて当然だ。  こういう時、誰かがそばにいるととても安心するものだ。  夕方になり、熱も下がった。 「ジョン!」  ベットのそばでウトウトしていたジョンに声をかける。 「う、うん、あっ! ミスティ、起きたんだね。薬効いたみたいでよかった」 「……」  私、何で、ジョンがダメだったんだろう? こんなに優しくていい人なのに、年下ってだけでダメなんて……。  ――恋だ! 認めたくないけど確実に。 「?」  ジョンはまたミスティが具合が悪くなったのかと思ったのか、額に額をくっつけてくる。 「下がったのに顔赤いね」 「な、なんでもないわ」 「?」  上の研究室に行くと。 (火薬臭い? 何を作っているの?) 「秘密だよ」  でも、これって銃? 「まさかジョンが人を傷つけるようなものを作ってるってこと?」
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加