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「おいしいよ、ありがとう、でも、ミスティ、ぼーとして体調が悪いの?」
「そうみたい」
「時計人形に運んでもらって下の階の僕の部屋で寝ていたら?」
「……うん」
青年時計人形にお姫様抱っこで運ばれ、じーっと顔を見ても時計人形は何も思わないのだろう無表情だ。
(私ってこっちがタイプよね?)
ジョンの部屋は本だらけの部屋にベッドが置いてあるだけだが、しっかり本が片付いているあたり、きれい好きなんだろう。
(ここにいつもジョンが寝ているのね)
ベッドに横になり、ウトウトする。本格的に体調が悪いようだ。
――本当に病気だったの?
カタカタと音がした。
「う~ん」
ミスティは急に聞こえた音に少し声を漏らした。
「ごめん! 起こした?」
ジョンが本を取りに来たのだろう。
「なんだ、ジョンか……」
しかし、彼の手には本ではなくハンカチを持っている。
「ご、ごめん、汗かいていたから少し吹いたんだ。熱があるみたいだったし、あと、薬とおかゆだよ」
「ありがとう」
ミスティは、少しおかゆを食べ、薬を飲み、頭の中はふらふら、また、眠りに着く。
しかし、ジョンは一向に私から離れる気はないらしい。
「こんなに無理をしていたなんて」
ジョン? よく見えないジョンの顔を見上げて。
――私は無理していたのかしら? 慣れない一人暮らし、仕事、疲れて当然だ。
こういう時、誰かがそばにいるととても安心するものだ。
夕方になり、熱も下がった。
「ジョン!」
ベットのそばでウトウトしていたジョンに声をかける。
「う、うん、あっ! ミスティ、起きたんだね。薬効いたみたいでよかった」
「……」
私、何で、ジョンがダメだったんだろう? こんなに優しくていい人なのに、年下ってだけでダメなんて……。
――恋だ! 認めたくないけど確実に。
「?」
ジョンはまたミスティが具合が悪くなったのかと思ったのか、額に額をくっつけてくる。
「下がったのに顔赤いね」
「な、なんでもないわ」
「?」
上の研究室に行くと。
(火薬臭い? 何を作っているの?)
「秘密だよ」
でも、これって銃?
「まさかジョンが人を傷つけるようなものを作ってるってこと?」
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