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「……。ごめん、ミスティ……、君には隠し通すつもりでいたのだけれど、実は、国から武器を作るように言われているんだ」
「最低!」
「……そうだよね」
その時は勢いで「いい人だと思ったのに」と思ったのだが……。
次の日の出社日にはミスティは机に座りボーとしている。
「ミスティ君?」
ボーとしている私を見て心配そうに声をかける編集長。
「……な、何でしょうか?」
「何かあったのかい?」
「! わかります?」
その時会社にいた全員が(悩んでるようにしか見えないだろ)と思っていたとは知ることもない。
「信じた人が危ない人だったらどうしますか?」
「う~ん」
「ミスティ、危ない人と恋でもしたのかい? それなら僕は悲しいよ、君を奪ってやりたい」
ウィルが、いつも通りキザっぽくそんなことを言ってくるが。
「違うわよ、友達よ、友達」
(そう、友達よね?)
「止めると言う事は出来ませんか? 何か理由があるんじゃないですか?」
編集長は神妙にそう言った。
「止める!」
(私が止めてって言ったら止めるかしら?)
家に戻ると通信用時計人形に何回も着信履歴が残っている。
残っているのは全部ジョンね。
当然と言えば、当然だが、なんだかうれしい。
(私、本格的におかしくなったのかしら?)
「ジョン!」
「やっとつながった! ミスティ!」
それは、それは、嬉しそうに私の名前を呼ぶ。
「聞いて欲しいんだ。僕は確かに銃を作っている、だから、ミスティが嫌がるのも仕方がないと思う、僕だって止めたいんだ。だけど……僕の住んでいた村の住人質に取られているんだ。みんなは、自分が人質なんて思ってないで生きてる、もう、みんなの幸せを壊したくないんだ」
「なめないでよ、私は新聞記者なのよ!」
「待って、それじゃあ君の立場が悪くなる」
新聞記者にできる事それは『報道』つまり、国の悪口を書く事、当然ミスティの立場は悪くなる。
「僕が何とかするよ、頑張ってみるから、君は――」
「ジョンにばっかりかっこいい所取られたくないわ」
「ミスティ――」
ブツンと通信が切れる。
ジョンは、一人で戦って来たんだ。私は少しでも役に立てれば、それで、立場が悪くなろうと関係ない。
ミスティは強くそう思った。
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