恋に落ちるか?

7/8
前へ
/50ページ
次へ
「ミスティ君! これは一体……」  ここは、編集部室、編集長に呼ばれたのだ。 「国のゴシップは大々的には取り上げられないんだ」  ――やっぱり、そう来ると思った。 「でも、私の大事な人が、国に使われたままでいるなんて耐えられないの」 「!」 「「ミスティ」」  大声を出したせいかシャルロットとウィルがこちらを向く。 「ミスティ、大事な人って彼氏かい?」  ウィルは顔をひきつらせて訊いてくる。 「彼氏? ミスティに? このミスティに? 物好きもいるものね? でも、そうとあらば、結婚式の日取りは――」 「シャルロット、この前、友達って言ったでしょ」 「なら、ミスティ、僕と結婚しよう」 「いやよ、ウィルも、いつもの冗談なんでしょ? 二人とも私をなんだと思っているの?」 「「かわいい後輩」」 「嘘つくんじゃない!」 「じゃあ、ミスティ君の熱意にこたえて、小さくなら書いてもいいよ」 「本当ですか?」 「いいのかな~?」  ウィルは腑に落ちない様子だった。  当然よね、だって後輩が国から嫌われるんですもの。 「いいのよ、みんな」  次の日の新聞。 『コクルス国の銃は子供の作った物、今すぐ止めさせるべき』  と国際面に小さくそう載って行った。 「これで、どれだけの人が動くか?」    ミスティは時計塔に来ていた。 「コクルス国はね、奴隷にも銃を作らせているから、そっちだと思った可能性が高いよ、でも、もし、誰かが、大々的に言う人が居たらしばらくは、僕や奴隷には銃を作らせる気はないと思うよ」 「しばらくか……。でも、いいか」  またオカメちゃんの「おやめください」が鳴ったところで、いつものようにお茶をしている。  しかし、会社に出社すると。 「ミスティ! シャルロット君がさらわれた。この前の記事で不利になった。コクルス軍が君の代わりにシャルロット君を連れて行ったんだ」 「なんで、シャルロットが?」 「ミスティの代わりになったんだ」 「しかし、シャルロット君をさらうなんて国もバカなことをしますよね」  編集長が笑いながらそう言う。 「編集長、笑ってる暇はありませんよ、シャルロットが捕まったんですよ」  ミスティは必死なのに編集長の涼しい顔。 「うんうん」  一時間前。軍人が会社の周りを固めに入る。
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加