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「ミスティ君! これは一体……」
ここは、編集部室、編集長に呼ばれたのだ。
「国のゴシップは大々的には取り上げられないんだ」
――やっぱり、そう来ると思った。
「でも、私の大事な人が、国に使われたままでいるなんて耐えられないの」
「!」
「「ミスティ」」
大声を出したせいかシャルロットとウィルがこちらを向く。
「ミスティ、大事な人って彼氏かい?」
ウィルは顔をひきつらせて訊いてくる。
「彼氏? ミスティに? このミスティに? 物好きもいるものね? でも、そうとあらば、結婚式の日取りは――」
「シャルロット、この前、友達って言ったでしょ」
「なら、ミスティ、僕と結婚しよう」
「いやよ、ウィルも、いつもの冗談なんでしょ? 二人とも私をなんだと思っているの?」
「「かわいい後輩」」
「嘘つくんじゃない!」
「じゃあ、ミスティ君の熱意にこたえて、小さくなら書いてもいいよ」
「本当ですか?」
「いいのかな~?」
ウィルは腑に落ちない様子だった。
当然よね、だって後輩が国から嫌われるんですもの。
「いいのよ、みんな」
次の日の新聞。
『コクルス国の銃は子供の作った物、今すぐ止めさせるべき』
と国際面に小さくそう載って行った。
「これで、どれだけの人が動くか?」
ミスティは時計塔に来ていた。
「コクルス国はね、奴隷にも銃を作らせているから、そっちだと思った可能性が高いよ、でも、もし、誰かが、大々的に言う人が居たらしばらくは、僕や奴隷には銃を作らせる気はないと思うよ」
「しばらくか……。でも、いいか」
またオカメちゃんの「おやめください」が鳴ったところで、いつものようにお茶をしている。
しかし、会社に出社すると。
「ミスティ! シャルロット君がさらわれた。この前の記事で不利になった。コクルス軍が君の代わりにシャルロット君を連れて行ったんだ」
「なんで、シャルロットが?」
「ミスティの代わりになったんだ」
「しかし、シャルロット君をさらうなんて国もバカなことをしますよね」
編集長が笑いながらそう言う。
「編集長、笑ってる暇はありませんよ、シャルロットが捕まったんですよ」
ミスティは必死なのに編集長の涼しい顔。
「うんうん」
一時間前。軍人が会社の周りを固めに入る。
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