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ミスティ・シャーロック、十八才、彼女は新聞記者である、もちろん若手で独身だ。
(一人暮らしはじめて、一か月なのにお先真っ暗じゃない)
目覚まし時計を見て、青ざめてるミスティ、今日は出社の日で寝坊をしたのだった。
(もう~朝ごはんは抜きでいいや)
小さなアパートの部屋から這い出し、急いで会社の近くの駅に向かう汽車に乗ろうと走り出す。
(カロリーのあるパンを買って駅で済ませよう)
田舎町から駅までの道のりで、にぎやかな街に向かい信号があり、止まり、時計を見て慌てている。
遅れる~。
茶髪をセミロングにして、軽く巻いてあるのはくせ毛でとび色の目のミスティは走る。
駅のパン屋に着く。
「クリームパンって残ってますか?」
「残っているよ、ミスティ! また遅刻しそうなのね」
「はい~~」
ミスティはほとんど毎日遅刻していたせいかパン屋のおばさんに顔を覚えられているのだった。
「パンおまけしてあげるから急ぎなさい」
「ありがとう! あと六分後に来る汽車に乗らないと確実に遅刻だわ」
汽車が来たのでパンをくわえたまま、乗り込む。
汗をかいて、急いで乗った。
汽車は意外と空いていて空気がよかった。
空いててよかった~。
満員汽車より一本遅いので、人は、まあまあ乗っているものの、大人数と言うわけではなかった。
パンを飲み込み、一か月間見てきたいつもの景色を眺め。
……きれいだけど……遅刻だ……!
と一人で落ち込んでいた。
何はともあれ会社に、出社したところ、シャルロットと言う同僚の女が巻毛をなびかせながら偉そうに。
「ミスティー(ぼんやり)・シャーロックさん、おはよう」
「シャルロット、また、ミスティーって伸ばしたわね」
ミスティの名前ミスティを『ミスティー』と伸ばすのはぼんやりしているという意味になる。
「だって、あなた、いなくても同じよ、幽霊記者みたいなものじゃない?」
「そう言うけど、シャルロットは記事取れたの?」
シャルロットは机を指差し、ふんっと偉そうにこちらを見る。
「写真の山ね、でも…… ! これは、あの有名人のスクープ」
「だからあなたは『ミスティー』なのよ、張り込みサボったあなたが悪いわ」
「……」
確かに昨日は寝てしまったけど……。
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