時計塔で出会う!

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「まぁまぁ、ミスティ、気にしなくていいよ」 「ウィル!」 「でも、僕もミスティ君がせっかく『シャーロック』と言う名前なのに流行の『シャーロック』のように、推理もできないなんて」  ウィルこと、ウィルソンは同僚の男、金髪でナルシスト、薄ら笑いを浮かべてこちらを見ている。 「もう、いいわ、編集長!」 「ミスティ君、次は期待してるから、がんばりたまえ」  巻毛のシャルロットや、ナルシストのウィルと違い、本当に優しい編集長でよかったと思った。  本格的に仕事に移ると、私はシャルロットと競争しながらヒミツの人物を追いかけている。 『スーベ・ラロー二』と言う俳優だ。今、私の国のトップ俳優なんだ。  スクープを追いかけている時は、新聞記者の血が騒ぐ。  街を歩き、『スーベ・ラローニ』の姿を見つけた。  しばらくして『スーベ・ラロー二』店から出てきたので、写真を撮った。    明日のニュースは『スーベ・ラロー二』のオススメの店で決まりね。  夕方、赤く染まる空に、そう思い新聞社に戻ると。 「シャルロットよくやったね、こんなすごい写真――」 「そうよ、あのアイドル『フルール』のゴシップ記事よ」  ――負けた。  家に帰り、落ち込んだ気分で、母と父の写真を見る。  母さん……父さん……。  母の名前は……ミスティ・ハロバル 父の名前はシャーロック・ハロバルなので、私の住んでいた地方では子供は親の名前を継ぐ場合が多い、特に、一人っ子はそうだ、だからミスティ・シャーロック・ハロバルが私の名前、でも、みんなミスティー(ぼんやり)とか『推理のできないシャーロックさん』とか呼んでくる、悔しいのは母さんと父さんまで、バカにされたみたいでいやだから。  次の日の一面は『フルール リーダー リアラ熱愛』の記事。  シャルロット……。  小さく書いてある『スーベ・ラロー二』の記事に落胆する。  ――どうやったら、そんなにうまく記事が取れるの。  悔しさと自分の無力さを痛感させられる。 「手紙」  ポストの前で落ち込んでいたので、自分宛に手紙が届いていたのに気付かなかった。 「とけいとう?」  そう『とけいとう』と書いてあるだけであった。  嫌がらせ? 結構不気味かも……。  手紙を破り捨てスクープを探しに街を歩くことにした。 「あら、ミスティ!」
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