ー接近ー

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「あっつ……い……」 まだ梅雨時の6月だと言うのに、今日は朝から蒸し蒸し、ジメジメ…… 夕方になっても、顔にじんわりと汗が浮き出るのを感じる気温だった。 自宅から、いつもの河川敷までは徒歩5分。一番近くのスーパーは河川敷の反対側だけど。 私は、散歩がてら……と思い、河川敷の先にあるスーパーへ向かって歩き出す。 ん? 少し歩くと、 賑やかな声の集団に気づいた。 「おねーさんっ!」 「おーーっい!」 あれは……私の天敵。憎き、小学生。 河川敷の上を歩く私に向かって、子ども達数人は下から体全体を使って手を振っていた。 「おねーさーん!」 そう何度か呼ばれたと思ったら、いつの間にか、目の前に男の子が2人立っていた。 「おねえさん、この前はごめんね」 「そうそう、笑ったりして」 まさか、この子達から謝ってくるなんて思わなかった私は、不意打ちを食らったようで、返答に困ってしまった。 「タケルにさ、俺達みんなすげー怒られたんだぜ」 「怒るとマジ恐いんだよ、タケルはさ」 ん? ……タケル……? それは、恐らく、 魔法の足の持ち主であろう名前。 「おねえさん、本当ごめんなさい。あんな風に笑ったりして」 あまりに素直に自分達の非を認め、頭を下げた彼らを見ていたら、大人気なく、腹を立てて、卑屈になった自分が恥ずかしくなる。 「いや……私こそ、ごめんね」 と、ボソリと口に出してみた。
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