ー接近ー

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いつ以来かな…… 走ってる、私。しかも全力で。 汗が流れる。 この感覚……もう遥か前の記憶。 そう……今から10分前。 土下座をする子ども達に、私は「それでも出来ない」と告げると、魔法の足のアイツが言ったの。 「大事な洋服が汚れちゃうから、出来ないってさ。残念。お前ら諦めるんだな」 その言葉を聞いたらね、 私の中でカッチーンって、 怒りマークが浮き出たわけっ! ほら! マンガとかで、よく出てくるあのマーク! その瞬間…… 「分かったわよ! ただし15分だけだからね!」 って、私は言ってしまったの。 ―――― そして、今に至る。 でも! でも! 走るって楽しい! もちろん、パスを受けたりする技術はないからね。子ども達と一緒になって、ボールの流れに沿って走り回ることしか出来ないんだけど。 あーっ! でも! 楽しい! 私、走れるんだ。 私、もう大丈夫なのかな? あまりの楽しさから、 思わず、そんな錯覚に陥った時…… 私の胸は…… ドクンッ……ドクンッ…… 怖い位に、急激に跳ね上がる。
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