『未来へーー』

24/31
1845人が本棚に入れています
本棚に追加
/440ページ
タイ。 正式名は日本語で『タイ王国』と呼ぶそうだ。王様がいる王制の国である。 熱帯にあるバンコクは、一年を通して、平均最高気温は35℃、最低気温は25℃と、寒暖差があまりなく、比較的過ごしやすい気候だ。 暑期、雨期、乾期に3つの気候に分けられ、私が訪れたのは『乾期』に当たる。 バンコクでは、暑すぎず、快適に過ごせる時期として人気高いという。 空港に降り立ち、正に最初は真木先生も含め、スタッフ一同が観光モード。 寺院を巡ったり、水上マーケットを楽しんだり、トゥクトゥクという三輪自動車に乗って、観光名所を回った。 AKIさんは別の仕事を終わらせてから、バンコク入りするから、直接ひまわり畑で落ち合う予定だ。さすが忙しい、人気カメラマンだ。 そういえば渡航前に、事務所で出発準備をしていた時。 手配上必要な書類に目を移すと、 私達の名前の他に、 『 AKIHITO ISHIZUKA』 と、いう名前を見つけたの。 漢字で書くと『昭仁』さんだった。 正昭さんと同じ一文字を見て、兄弟なんだなって改めて思ったし、仕事名の『AKI』さんの名前に答えを見つけた気がした。 そうして ―――― 私達は、撮影日を迎え、バンコクからおおよそ2時間かけて『ひまわり畑』に到着をしたのだった。 バンコクの観光名所みたいに有名ではないけれど、知る人には知るスポットで、この時期はバスツアーが組まれたり、タイ国鉄から『ひまわり列車』となるものも臨時運行される。 ―――― デジャヴ。 正に今、私はこの場に立ち、辺り一面に咲き広がるひまわり畑を目の前にして、そう感じた。 夢で出てきた、あの時の光景と一緒で。空の青さも、大小のひまわり達が太陽に微笑みかける様も、夢に出てきたあの時のまま。 だから、私は何だか不思議な感覚に陥って言葉を失ったんだ。
/440ページ

最初のコメントを投稿しよう!