1855人が本棚に入れています
本棚に追加
「川澄さんみたいに、容姿端麗で何でも思い通りになりそうな感じの子が、あんなに祈るほど叶えたいものが、何なのかちょっとした好奇心」
「なんでも思い通りにならないからこそ、願うんです。でもさっきのは、願いを叶えたい為ではなくて。
自分の想いがドイツに届いて欲しかったからです」
私が発した『ドイツ』という単語に、明らかに反応したAKIさんを見逃さなかった。
「……ドイツ?」
呟くように囁かれた、AKIさんの何か言いたげな口調に、私は思わずこう続けた。
「ドイツにサッカーをしに行っている、大切な人がいるんです。
すごく、すごく大事な彼が、ドイツで頑張っているので。彼にそんな私の想いが届いたらいいなって思っていました」
AKIさんは私の言ったその言葉に、目を丸くした。
「サッカー?」
「はい」
「………君の大事な彼は、ドイツでサッカーをやっているのか?」
「……はい。……AKIさん。
タケル、ドイツですごく頑張っています」
私のその言葉に、AKIさんはこぼれ落ちそうな位の目を大きく見開いたまま、
「タケルを、知っているのか?」
と、聞いてきた。
「……はい。私、タケルさんとお付き合いさせて頂いています。
ご挨拶が遅れて申し訳ございませんでした。先日、タケルさんと話をして、AKIさんがタケルのお父さんであることが、ハッキリ分かりました。
でもその前に。正昭さんとAKIさんがあまりにも似ていらしたから、最初にお会いした時点で、薄々ではありますが気付いていました」
そう言って、私は全てを白状した。
最初のコメントを投稿しよう!