『未来へーー』

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「いや、驚いた。まさか、こんな偶然があるなんてな」 ‘‘ 絶句 ” という言葉がピッタリのような、そんな様子で、AKIさんは今だに驚いた表情をしたまま。 「タケルは元気にやってるかい?」 「はい。ドイツに渡って半年以上、経ちますが、向こうでの環境や言葉に苦労しながらも、毎日頑張ってます」 「……そうか。もう、何年も会ってないんだ。タケルの様子は、専ら正昭から聞いているんだが。 タケルに、結婚間近な子がいることも、正昭からは聞いていたが、まさか相手が川澄さんとはね。驚いたよ」 そう話す、AKIさんの表情は十数年後のタケルを想像出来るほど似ていて、やっぱり、『父親』であることを再認識する。 AKIさんはその後、何も言わぬまま、遠くを見るような眼差しで、何か考えているようだった。 私も、それ以上喋ることなく。 ただ一言、タケルからの伝言を思い出し、それを口にする。 「AKIさんと仕事するって、タケルに話したら。よろしく言っといて、と伝言を預かりました」 「……そうか。よろしく、か」 私の言葉に対して、AKIさんは何を思ったのかは分からないが、一瞬、肩を揺らして笑った。 そして、私の目を見ると、 「タケルのこと、これからもよろしくお願いします」 と言って、頭を下げたのだった。 そんなAKIさんを見て、私も慌てて深々と頭を下げる。 「こちらこそ、至らない点も多い私ですが、どうぞよろしくお願いします」 と言った後に、 「必ずタケルを幸せにします」 と付け加えた。 それを聞いたAKIさんは目を細くして笑った。
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