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バンコクから帰国をしてから、一週間ほど経ったが、私はここ最近、必ずと言っていいほどあのひまわり畑が夢に出てきていた。
時にはタケルと2人だったり。
時には家族や友達とだったり。
時には回想シーンのように、ただ景色だけが流れていたり。
とにかくあの光景が、私の脳裏に深く刻み込まれているということ。
今日もまた、鮮やかなイエローに包まれた夢を見ていた、その時。
枕元に置いてあった携帯が鳴り響き、私は慌てて飛び起きる。
着信を受けたことで、明るく照らされた画面を見ると『皐月』の文字。
合わせて、画面の時計表示に目を移すと、朝6時を少し回ったところ。
日曜日の早朝。
まだまだ寝てるのにっ! ……と思いながら、不満タラタラに通話ボタンを押す。
「もしもし」
『あっ! 起きてた? 良かった!』
良くないよ! 完全に寝てましたよと思いつつも、ツッコミを入れるパワーもないから、私はスルーして、
「どしたの? こんな朝早くに」
と、皐月に問いた。
『ねぇ! 見た?』
興奮覚めやらぬと言った状態で、皐月が話す。
「何を?」
『だーかーら! あんたのダンナ!』
最近皐月は、タケルのことを “あんたのダンナ” と呼ぶ。
つい先日までは、言われる度に訂正してきたけれど、何かもう、それさえも面倒な位にまだ眠い私は、
「タケルがどうしたの?」
と、普通に聞き返す。しかし。次に皐月から聞かされるのは、予想だにしなかった、嬉しい知らせだった。
『日本代表に選出されたから、2月に行う国際親善試合で日本に来るよ!』
タケルが、日本代表に?
試合をする為に、日本に帰って来るの?
皐月からの嬉しい知らせに、私のテンションは一気に上がる。
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