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7万人以上を収容するスタジアムの規模はとにかく圧巻の大きさだった。サッカー観戦初心者のお父さん、お母さんは、その迫力に開いた口が塞がらない。
田舎者丸出しで周囲を見渡すばかり。
それは、もちろん私も。
さすが慣れている皐月は、涼しい顔で歩く。
タケルが、4枚のチケットをあらかじめ送ってくれたのは、こうなる予想が着いていたからだろうな。
様々な方向に、物凄い人が行き交う中、スタンドに足を踏み入れる。
目の前に広がる、芝生がライトに照らされて鮮やかなグリーンが目の前に広がる。
更に見渡すと、サポーターが着るユニフォームが、ブルーの波を作り、スタジアムは青一色に包まれていた。
そうして、私達はやっとの思いで、タケルから送られてきたチケットの、メインスタンド側の中央席に腰を下ろす。
サポーターが集まる席とは違って落ち着いて観ることが出来そうだな。
しばらくすると――――
数ヶ月ぶりに見る、
タケルがピッチに出てきた。
本当に今、私の目の前にいるんだ。
何だか信じられない思いと、
本当に今、同じ空間に居るんだと、信じたい思いと。
2つの感情が混ざり合わさって、私はとにかく不思議でならなかった。
数ヶ月ぶりに見るタケルは、更に引き締まったように見えて。髪も短くしていてね。
そんな変化が、会えなかった時間を実感させたんだ。私はピッチ上でボールを操る彼を、一秒足りとも見逃したくない。
だから、ひたすら目で追い続けた。
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