運命の始まり

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歩きながら、次の休みに作るお菓子は何にしようかな……と考える。 生まれつきの病気のせいで、私は “ 超 ” がつくインドアに。 家の中で、尚且つ楽しみながら時間を過ごせることを探したら、お菓子作りをすることは自然な流れだった。 だって。 自分の手で何かを作り出すのって、楽しい上、美味しく味わえるなんて、素晴らしい。そんなお母さんの趣味が、いつしか私の趣味にもなっていたんだよね。 お菓子作り以外にも、料理を作ることも大好き。どちらかと言うと、ここ数年は料理にハマっている。 食べて貰う相手は、もっぱら、お父さんと皐月だけどね。 長い直線が続く河川敷。 歩き始めて、半分を過ぎた辺りで、 「あっ……」 ……いた。久しぶりだ。 いつからかなぁ……? この河川敷に、まるで “魔法の足” を持つ同世代であろう男の子を見かけるようになったのは…… でも、毎日じゃないの。 この河川敷に現れるのは、不定期。決まった曜日もなく。決まった時間もなく。 前回、見かけたのはいつだったかな? 私は、久しぶりに見た彼を眺めながら、芝の上に腰を下ろし、子ども達と楽しそうにサッカーをしている姿を目で追った。 「すっげー! うまーい!」 「もっと、やってよー!」 そんな興奮気味の小学生達は、ワイワイ言いながら彼の周りを囲む。 両足で、右に左に…… ボールを面白いように操る。 すごいなぁ…… 皐月のリフティングにも見慣れているけど、彼がするリフティングは華麗かつ豪快な技ばかりで。 私は、 その技に目が釘付けだった。 足とボールに、 透明の紐がない? まるで、そんな疑いをかけたくなるような位、彼は面白いようにボールを操る。
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