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「すごい、何……あの人」
あまりのすごさに、私はポツリと思わず独り言。
気づけば、周りにいた小学生が1人、2人…とどんどん増えて。
魔法の足 VS 小学生10人のミニゲームが始まっていた。
くるり、くるり、と。
次々とドリブルで子ども達を交わす。
容赦ない技のオンパレードに、ボールが奪えないと、悔し泣きする子まで発生する。
そんな無邪気な子ども達の表情があまりに豊かで。それにも増して、ボールを追いかける彼も、キラキラして見えた。
―――― いいなぁ……楽しそう。
「羨ましい」
そう、ボソっと呟いた自分の声が耳に響く。
その時……
小学生の男の子が蹴ったボールが、ポーンと私の側へ転がってきた。
うわっ、ボールだぁ。
「おねーさんっ! ボール取って下さーい!」
「お願いしまーす!」
小学生数人が大きな声で、私に手を振る。
ボール……どうしよう……
投げる?
いや、あんな所まで届かないよ。
じゃあ、蹴る?
いや、蹴ったことないし。
じゃあ、転がす?
いや、ボウリングじゃないんだから。
「おねーさん! 早くーっ!」
あれこれ考えてたら、どうしていいか分からなくて……
足元に転がるボールを持ち、スクっと立ち上がる。
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