運命の始まり

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そして。 考えた末、意を決した私は 足元にボールを置く。 「フゥー……」と深呼吸。 ―――― よしっ!!! 「えいっ!!」 自分でそう声を掛けると、ボールを思い切り、そう、力いっぱい蹴り上げた。 ……はずだったのに。 “コロコロ” ……あれ? ボールはね、正に音で表現すると「コロコロ」だったの。 うん、その効果音、間違ってない。本当にコロコロとしか転がらなかった。 私、思い切り蹴ったはずなのに。 次の瞬間。 「おねーさん! 何やってんのー」 「何それ、へたくそー」 「もう1回、蹴ってよー!」 うっさい、クソガキ。 小学生の野次が途切れることなく、私の耳に聞こえてくる。 いまだ、私の1メートル先に転がっているボールをチラリと見た私は…… もう一度、蹴ることもなく、 小学生の方を見ることもなく、 歩き出した。 そう、そうだよ。 慣れているんだ、私。 ほらね、どうせ私なんか…… 小学生が思い切り蹴れるサッカーボールでさえも、今までまともに蹴ったがことない。 ほらね、どうせ私なんか…… 小学生に笑われる運動神経。 こうして、いつものように、 お得意の逃げ道「どうせ私なんか」で自分の気持ちに蓋をする。 そうしたら、諦めも早い。 うん、いつもと同じ。 大丈夫、私。 でもね… こうやって、卑屈になる 自分が……一番嫌いなんだよ……
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