はるはやて

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「ほんと子供なんだから」 「じゃあ甘やかしてくださいよ」 「お前それやったら付け上がるだろ?」 「冗談じゃない」と零すと、でかい背を縮こまらせて僕に伸し掛ってくる。 重いし暑苦しいからいつもやめろというけれど、それで身を引いた試しなんてついぞなかった。 溜息が口から出てくるけど、それほど嫌でもない。 でもこれしか表現方法がないのかと呆れてしまう。 「離して欲しいんだけど」 「んー、聞こえない」 「これじゃあ夕飯の買い出し行けないだろ…」 ぽつりと呟いた声に、ぱっと腕が外れる。 なんだ、聞こえてるじゃないか。 相変わらず調子が良い様子に苦笑を刻んで、それから期待を込めた眼差しが突き刺さる。 「今日の夕飯って何ですか?」 「まだ決めてない」 適当に返して財布とエコバックを抱えて外に出る。 そうすれば僕の後ろをついて回る長身。 置いてきても良かったけど、荷物持ちがいないと僕が困るから。 仕方なく、本当に仕方なくだ。 「そういえば、寮の退去手続きとか済んだの?」 「それならもう終わりましたよ。後は明日荷物取ってくるだけで」 あっさりとした声に相槌を打つ。 引っ越すに当たって今の時期は丁度良かった。 手続きにも下期の終わり頃だからそんなに手間は掛からないだろうし。 これからの生活、心機一転というのも案外すんなり行くわけだ。
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