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他愛ない話をしながら家の近くにあるスーパーに二人で入っていく。
以前はこんなこと、心底嫌だったけど今はそんなに神経質でもない。
吹っ切れたというか、もうどうでも良くなったのだ。
けれど――
「こうして見るとやっぱり主婦なんだよなぁ」
例え悪気がなくても、こんな風に言われると途端機嫌が悪くなるのも仕方ないこと。
「恭平、お前わかってて言ってるだろ」
「……やっぱりそう思う?」
へらへらとした笑みに、睨みつけてやると首を竦めて黙り込む。
こういうことになると何となく予想してはいたけれど、言われるとむかつく。
だから買い物が終わるまで、何を話しかけられようがわざと無視を決め込んだ。
酷いだなんだと言われようがこうしなければ身にしみないから。
案の定、スーパーから出て家に帰る頃には、僕の隣の荷物持ちは溜息ばかり吐くようになっていた。
「うるさい。自業自得だろ」
「…だって、佐野サン怒ってるし。話しかけても答えてくれないし」
「…………」
こうして一緒にいる時間が長くなってから気づいたことだけど。
恭平は下らないことでいつまでも悩むタイプだ。
僕から言わせてみれば本当にどうでもいいことばかり。
今のもそうで、付き合わされる僕の身にもなって欲しい。
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