第3話

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「さて、帰るとするか」 遊佐孫一は、すっかり身支度を整えていた。 杖代わりの棒を両手で持って座っていた。 その棒を、持って来たのは、義理の息子。 見舞いと報告が、終わるとすぐに帰らせた。 彼の妻と娘の待つ場所へ。 若い刑事は、戸惑いを隠せない。 「まだ、少し時間は、ある」 行くべき所は、無いのか? 行っておかなければいけない所は? 柔和な顔付きで、暗にそう問い掛けていた。
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