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 はぁ、と、ため息をつきながら教幸は指先で顎を掻いた。 「お前はなー……。  そうやって、いつも一人で背負いこもうとするのいい加減やめろよ、水臭い」  寿親は驚きのあまり、手から箸を落としてしまった。 「――なんだよ、それ?  確かに東宮様の乳兄弟ではあるけれど、それはなんていうか――母親がそうだったってだけのことだろ?  寿親のことは――本当の弟のように思ってる。  迷惑だって言われても、だ」  それはまるで恋の告白のように、照れくさく、静かな部屋に響いた。  かぁ、と、日に焼けた顔を背けて耳まで紅くしている教幸と、透き通るほど白い肌はそのままに、ただ瞳を大きく見開いて真っ直ぐに教幸の横顔を見つめる寿親。  そうして、寿親の方が先にふうと息を吐いた。 「わかってるよ。  教幸は本当に良い奴だって思ってる。  迷惑だなんて思ってないけど―― 本当に厄介なんだ。  順を追って説明できるほど頭が片付いてないから、理解できていることから言おう。  女房を殺し、姫のことを襲ったのは『式神』だった。  もちろん、こちらも式神で応戦して勝つことは出来たが――。  その相手は今の陰陽頭だった。あいつにはもちろん、左大臣の息がたっぷりかかってる。  ここから後は推測だが、おそらく、二人姫が居るという事実を知ってしまった東宮が、つい二の姫のことを左大臣に話してしまった。東宮にそれを知られたことを脅威に思った左大臣が陰陽頭に依頼して式神を放った」
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