初恋は突然に

10/26
前へ
/26ページ
次へ
母以外の人から褒められるって、何やっても褒めて貰えた小学生以来じゃないだろうか。 ドキドキ、ドキドキ。 鼓動が騒がしい。私、どうしちゃったの? 仕事しててもドキドキ、ソワソワ。 今度、あのドアが開くのはいつだろうか・・・。 視界に斎木課長が入って来るのを私は心待ちにしてる。 課長の顔、ちゃんと見たい。 そしてさっきのお礼を言わなきゃ。 良い理由で注目を集めた高揚感に自分自身で戸惑いながら、益々仕事を頑張っていこうという意欲が湧く。 そして、それとは別の胸の高鳴り。 持て余す感情を消化しきれないでいるうちに、先ほどのドアが開いて長い脚が再び現れた。 待っていたくせに、何故だか怖くて直視出来ない。 とにかく胸がドキドキして苦しい。 そうしている間に、課長は再び私の視界から消えてしまった。 あぁ、私何してるんだろう。 ガッカリしたその時だった。 「ここはどうなってるの?」 私の後方から、先ほどの心地よい声が耳に届いた。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

214人が本棚に入れています
本棚に追加