初恋は突然に

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その日の仕事を終え、私は会社を出ようとしていた。 今日のコーヒー出しのことが頭から離れず、ついため息が出る。 通用口を出た所で、ハッと息を飲んだ。 斎木課長が正面から歩いて来る。 今日のこと、やはり課長は意図的に私を避けたのだろうか。 明らかにお茶の準備をしようとした私を、確認しながらも無視した。 聞きたい。 答えは分かってる。見た目の問題。だけど、理由を聞いたら、課長はどう答えるのだろう。 ハッキリと「見た目が良いほうを選んだんだ」って言うだろうか・・・。 もちろん、考えるだけで、そんなこと聞けやしないのだけど・・・。 結局私は「お疲れ様でした」と挨拶をしただけ。 臆病で見た目の地味な自分を心で嘲笑いながら課長の横を通り過ぎようとした時だった。 「あ、栗原さん、今日のお茶出しのことなんだけど・・・」 は? まさか、課長からこの話題に触れてくるなんて・・・。
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