初恋は突然に

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周囲の視線を一気に集めてしまう。 いくら休憩中とはいえ、ここは職場。 私は仲村とやらを引っ張って外へ出た。 「いい加減にしてよ。何なの? あなたのせいで仕事に来るのが苦痛になってるの」 怒鳴りたいのを堪えて、私は小声で言った。 「今までは苦痛じゃなかったの?」 コイツ何言ってるの? 彼の返してきた言葉にイラッとする。 「はぐらかさないで!」 話題のすり替えなんて卑怯な手に乗るとでも思っているのだろうか。 もしもそう思っているのなら、見くびらないでもらいたい。 「じゃあもう会社ではしない」 仲村は思いの外アッサリと私の望む言葉を口にした。 言い合いになることを予想していた私は、ちょっと拍子抜け。でも、分かってくれればそれでいい。 「分かればいいのよ」 私は仲村に背を向け、会社へ入ろうとした。 「で、これまでは仕事来るの苦痛じゃなかったの?」 その言葉にピクリとして立ち止まった。 コイツわざと挑発してる・・・。 こんなヤツにムキになっちゃダメだ。それこそ仲村の思う壺。 「しつこいのよ!」 私は話を切ってその場を離れた。
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