初恋は突然に2

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通常、喫茶店といえば軽い朝食かドリンクというイメージだったけれど、隣の席に運ばれてきたカツサンドはしっかりとボリュームがあって『お昼ご飯』と言うにふさわしい量だった。 課長が「ごちそうするから」って言ってくれたので、私は絶対残さずに食べようと決めた。 カツサンドを二つとコーヒーと紅茶を注問し終えると、課長はこちらに向き直った。 「栗原さんは若いのに仕事熱心で、言葉づかいもきちんとしていて偉いね」 嬉しいけど恥ずかしい。課長の二度目の褒め言葉。初対面の時を思い出す・・・。 「あっ!」 私は大事なことを忘れていたことに気づく。 「どうしたの?」 突然の私の奇声に課長も驚いている。 「あ、やだ、すいません。お礼を言い忘れていたことを思い出しまして」 「お礼?」 「私、課長がこちらに来られた初日に、最初に褒めて頂いたんです。それなのに、お礼も言うことができなくて」 「あはは。そんなこと?お礼言われてたくて褒めたんじゃないから、気にしてなかったな」 課長は白い歯を見せて笑った。 きゅぅん 笑顔も、素敵だ。って、また忘れかけてる!私は邪念を振り払った。 「ありがとうございました。私とても嬉しかったんです」 ようやく伝えることが出来たお礼。もしかしたら、伝えることすら出来ないかもしれないと思っていたのに。 こんなドキドキの中で良く言えた。 私は自分を褒めてあげたかった。
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