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バッドタイミングで運ばれてきたカツサンド。
きっと店員さんは変な目で私を見ている。そんな私と一緒に居る課長も、さぞかし困っているに違いない。
「グズッ、ごめんなさい。グズズ、せっかく誘って頂いたのに」
鼻をすすりながら必見で涙を止めようとした。
きっと怒ってる。変なヤツだって思われてる。誘わなきゃ良かったって・・・。
「泣いてたら味分かんないよ。涙拭いて、とりあえず食べてみて。ホント美味しいから」
そう言うと、課長は店員さんにおしぼりの追加を頼んだ。
「そのおしぼりは、涙用に使うといいよ」
課長・・・優しい。
私はメガネを外して涙を拭いた。
涙で濡れたメガネを拭きたかったけれど、こういう日に限ってハンカチを忘れたりしているもので。おしぼりじゃあ、逆にスジが付いちゃうし。
私は仕方なく濡れたメガネをバッグに入れる。
「いただきます・・・」
私は今できる精一杯の笑顔で課長の厚意に応えるべくカツサンドを食べた。
前方から感じる課長の視線。自身満々で勧めたカツサンドの感想を期待しているのだろう。
「おいしいです!」
私は応える。
「その見た目で悪口言われたの?」
「え?」
課長は思いもしない言葉を返してきた。
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