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恋って凄い。
仕事に来てもため息ばかりだった私だけど、最近は仕事に来ること自体が楽しい。
素敵な課長の横顔を見つめながらの仕事は、たとえ話すことは無くてもフワフワと夢心地だ。
少し浮かれた気分だった私。
でも、その浮かれ気分は突然不安に変わることになる。
それはランチタイムのことだった。
今日もお弁当を持って休憩室に向かって歩いていると、先日コーヒー出しを頼まれていた柳本さんが休憩室の前で斎木課長に話掛けているところだった。
「課長、ランチご一緒しませんか?」
その言葉を聞いた私は、何故か咄嗟に隠れてしまう。
二人の姿は見えないけれど、課長の返事は優しく、楽しげなトーンだった。
「ありがとう。せっかくだけど、これから副支店長と出かけるんだ。また今度ご一緒させてもらうよ」
「課長、約束ですよ」
「ああ」
お弁当を胸に抱きしめて固まる私の胸は、いつものドキドキとは違う響きで速まっていた。
痛い。胸が痛いよ・・・。
課長、本当に今度、柳本さんと食事したりするのかな。
柳本さんは美人だし、課長もまんざらでもない口ぶりだった。
一緒に食事するなら、やっぱりキレイな女性のほうがイイよね。
もしも。
もしも私が誘ったら、どういう反応をしていただろう。
柳本さんと同じように、優しく次の約束をしてくれただろうか・・・。
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