初恋は突然に2

23/39

240人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
丸一日、条件のことを気にしながら過ごした。 会社で仲村に会ったらそれとなく聞きたかったけれど、翌日は朝会社を出たきりで私の退社時刻まで戻って来なかった。 そして、夜の電話も無いまま、土曜の朝。 時間というものは、本当に止まることは無いんだと、こういう時に思い知らされる。 重い気持ちを支える足は鉛のようだった。 そんな足をどうにか左右交互に前に進める。 行きたくない気持ちと、時間に遅れないように急ぐ気持ちと。私の心と体はグチャグチャ。 それでも午前10時、私は喫茶『ぴのきお』に到着してしまった。 恐る恐る入口のドアノブを握りしめたが、PULLと書かれたドアを引けずに固まっている。 無理だ・・・。開けられない。 そう思い、ノブから手を離そうとした時だった。 「いつまで突っ立ってるんだよ?営業妨害だぞ」 突然中から開けられたドア。 そこから、仲村が顔を出した。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

240人が本棚に入れています
本棚に追加