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丸一日、条件のことを気にしながら過ごした。
会社で仲村に会ったらそれとなく聞きたかったけれど、翌日は朝会社を出たきりで私の退社時刻まで戻って来なかった。
そして、夜の電話も無いまま、土曜の朝。
時間というものは、本当に止まることは無いんだと、こういう時に思い知らされる。
重い気持ちを支える足は鉛のようだった。
そんな足をどうにか左右交互に前に進める。
行きたくない気持ちと、時間に遅れないように急ぐ気持ちと。私の心と体はグチャグチャ。
それでも午前10時、私は喫茶『ぴのきお』に到着してしまった。
恐る恐る入口のドアノブを握りしめたが、PULLと書かれたドアを引けずに固まっている。
無理だ・・・。開けられない。
そう思い、ノブから手を離そうとした時だった。
「いつまで突っ立ってるんだよ?営業妨害だぞ」
突然中から開けられたドア。
そこから、仲村が顔を出した。
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