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仲村に支えられ、ようやく『ぴのきお』の店内に入った。
「何飲む?」
「あ・・・うん。アップルティー」
私が言うが早いか、仲村はウェイターさんを呼んでアップルティーを注文した。
仲村の前には既にコーヒーが置いてあり、その残りの量から少し前には到着していたことが分かる。
「オレって、よっぽど信用ないのな?」
「だって・・・」
「本当にバラされると思ったんだろ?」
「・・・」
なんだか私の方が責められてる気持ちになった。
冗談だとしても、嘘をついた仲村のほうが断然悪いのに。
ただ、それを冗談と捉えるのが普通なのかどうか、友達らしい友達が居ない私には感覚が掴めないから・・・。
私が普通じゃないのなら、仲村の非は大きくないのかもしれない。
「あ、ちょ、ごめん」
仲村に電話のようだ。
テーブルの上に置かれた携帯が、音は出ていないけれど、画面が明るく光っている。
「もしもし。 あ、うん。 じゃ、待ってるから」
短い会話を終えると、仲村は電話を切った。
「誰か来るの?」
仲村がそう言ったわけではないけれど、仲村が発した言葉で悟ることができた。
「ああ、オレが頼んだんだ。もしかして、オレと二人きりでデートだと思った?」
ニヤリとしてウィンクしながら人先指を私に向けた仲村。
面白くとも何ともない。もの凄く不安だった人の気も知らないで。
いくら何でも無神経だ。
「二人きりだと思ってたわよ。取り引きだと思ってたからね」
「・・・悪りぃ」
さっきまでのおチャラケ顔から一転、仲村はバツの悪そうな顔を見せた。
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